伺かシステム用語集

「伺か」とは

ls 氏が開発し,佐川豊秋氏が配布している Windows 用デスクトップキャラクタプラットフォーム。仕様が公開されていて,Windows 用互換プラットフォームや X Window 用,MacOS 用の互換プラットフォームも開発されている。

PC のデスクトップに人格を持ったキャラクタを継続して存在させることを目的として開発が進められた。

2002 年夏以降,ls 氏による開発は停止しており,互換プラットフォームの SSP や CROW などで開発が進められている。

過去の名称である「何か」「あれ以外の何か」や「任意」などとも呼ばれている。

現在「伺か」という名称は互換プラットフォームを含めた呼び名であり,「伺か」そのものは実行ファイル名の Materia の名前で呼ばれている。

「伺か」互換のプラットフォームには次のものがある。

「伺か」の構成

本体
SSTP サーバ,SAKURA Script インタプリタ,GUI,ゴースト & シェル管理システム,ネットワーク更新システム,などとして動作する。「伺か」では MATERIAmainsystem と名付けられていた部分であり,互換プラットフォームはこの部分を置き換えるものである。
ゴースト
デスクトップキャラクタとして動作する人物データ。人格部分の Ghost と外見部分の Shell とで構成される。歴史的事情により (現在正式な呼び名が無いため),Ghost と Shell を併せたものもゴーストと呼ぶことが多い。一般的には片仮名で記すことでキャラクタを示す。
Balloon
バルーン/吹き出し。キャラクタのセリフを表示する。
Plugin
プラグイン。本体と連係動作するプログラム。
Headlinesensor
ヘッドラインセンサ。インターネット上にあるwebページを解析しヘッドラインを表示するためのプラグイン。

システム構成図

ゴースト (キャラクタ)

Ghost
ゴースト。キャラクタの人格部分。AI として動作する Shiori とトランスレータとして動作する Makoto とで構成される。
Shell
シェル。キャラクタの外観部分。surface と呼ばれるキャラクタの感情/状態に応じた姿を表示するための画像ファイル群とその表示形態を記述した設定ファイルとで構成される。1つの Ghost に複数の Shell を持たせることが可能である。

Ghost

Shiori
AI。SHIORI/x.x に基づいた SHIORI サーバとして動作する。本体から送られてくるイベント通知への反応や,自律動作によりキャラクタのセリフを SAKURA Script として生成する。Shiori への共通プラグイン規格 SAORI がある。
Makoto
トランスレータ。全ての SAKURA Script はバルーンに表示される直前に必ずこのシステムを通る。これにより SAKURA Script のログを取ったり,セリフを変化させたり,翻訳したり,といったことを可能にする。Shiori に Makoto と同様の動作をさせるための,イベント OnTranslate が SHIORI/3.0 に (TRANSLATE Sentence SHIORI/2.6がSHIORI/2.xに) 実装されたため,Makoto の存在価値は減少し,現在ではあまり使用されていない。

Shell

surface
サーフィス。Ghost の感情等を表すための各々の姿絵を surface と呼ぶ。各 surface は,アニメーションや着せ替えを行うことが可能である。その場合,複数の画像ファイルで surface を構成するが,その各々のファイルも surface と言う。Shell に対しアニメーションや着せ替えの機能を与える仕様を SERIKO と言う。
Makoto
このシステムは Shell 側で持つことが可能である。Ghost 側の Makoto を通った後,Shell 側の Makoto を通る。現状,Makoto を使用するシェルは少ない。

仕様名

SHIORI
Ghost の中核となる AI の仕様。現在のバージョンは SHIORI/3.0。
MAKOTO
トランスレータの仕様。現在のバージョンは MAKOTO/2.0。
SERIKO
Shell をアニメーションさせたり着せ替えをさせたりするための仕様。非公式ながら記述を改めた新仕様がある。
MAYUNA
SERIKO の中の着せ替え仕様を指す。SERIKO/1.3 が MAYUNA/1.0,SERIKO/1.7 が MAYUNA/1.1,SERIKO/1.8 が MAYUNA/1.2 である。
BALLOON
バルーンスキン仕様。吹き出しだけでなくカーソルも変えることができる。
HEADLINE
ヘッドラインセンサの仕様。ユーザにより,又はゴーストにより実行されることで web サイトなどの更新データを表示する。
PLUGIN
プラグインの仕様。ヘッドラインセンサと違い自立動作も可能。SSP で PLUGIN/2.0 が策定されたが,ほとんど使用されていない。現在「ウェザーリポート[カスミガボウ]」などがある。
INSTALL
伺か用のアーカイブファイルの仕様。稼動中のキャラクタへのファイルの DnD でインストールができるようになる。
SAKURA API
外部アプリケーションが「伺か」へイベントを通知したり,「伺か」から内部の情報 (当たり判定領域,絶対きのこ領域,など) を得たりするための仕様。ただし,イベント通知は SSTP に NOTIFY リクエストが作られたのでそちらが推奨。

書庫

マスターアーカイブ
Ghost とマスターシェルを含み,起動可能となったゴーストを格納した書庫ファイル。形式は nar (Zip のファイル拡張子のみ変更) 又は Zip。
マスターシェル
あるゴーストを成立させるために最低限必要なシェルをマスターシェルと言う。そのキャラクタの基本外観となる。
サプリメントシェル
追加のシェル。単にシェルと言う場合,大抵サプリメントシェルを指す。ある特定のゴーストに対して作られていることが多い。例えば,「50%まゆら」「真の漢的54シェルセット」など。少数ながら,「偽メモ帳」など特にどのキャラクタ用とは決まっていない Shell も存在する。

書庫に対して上記のように説明しましたが,現状,この表記はあまり普及していません。

SAKURA Script

ゴーストの喋り (吹き出しに表示される文章) のソースデータを記述するためのスクリプト仕様。「¥」で始まるタグにより,書式をコントロールしたり,命令を実行したりする。汎用命令用の ¥![ ] 系のタグが追加され,SAKURA Script/2.0 とバージョンが 1 つ進んだ。

SSTP

「Sakura Script Transfer Protcol」の略。現在では拡張が進 みNOTIFY,EXECUTE,COMMUNICATE,GIVE のリクエストが存在する。現状 NOTIFY 以外はローカルマシンからのリクエストに限られている。

Socket SSTP
TCP/IP で行う SSTP プロトコル通信。ポートは9801番。
Direct SSTP
ウインドウメッセージで行う SSTP プロトコル通信。
Owned SSTP
起動時に本体から Shiori に通知された ID を持つ SEND リクエスト。無制限権限で本体が実行する。
SSTP サーバ
「伺か」互換プラットフォームを指す。SSTP の各リクエストを受け取り処理するシステムである。
SSTP クライアント
SSTP サーバに対して SSTP リクエストを行う外部アプリケーションを指す。「Irvine」など動作状況をバルーンに表示するだけのものから,「猫どりふ」のように「伺か」に対してイベントを行うものまで存在する。
SEND リクエスト
本体に SAKURA Script を実行させるためのリクエスト。
NOTIFY リクエスト
クライアントがイベント通知を行うためのリクエスト。本体はこのイベントを Shiori へ通知するが,Shiori が全てのイベントに対応するのは難しいので,クライアント側でセリフを用意しておき Shiroi が反応しなかった時はそのセリフを表示させる,ということもできる。
EXECUTE リクエスト
コマンド実行を目的としたリクエスト。クライアントが稼働中のキャラクタ名を取得したり,クライアントが使用する変数をサーバに保持させたりするのに使用する。
COMMUNICATE リクエスト
Shiori に会話データを送るためのリクエスト。これにより,クライアントやユーザからの文章に対する発言をさせたり,ゴースト同士の会話をさせたりすることができる。
GIVE リクエスト
データを送るためのリクエスト。曲名と単語学習用の文章を送ることができる。NOTIFY リクエストが作られたため,現在では「不賛成」リクエスト。

名前の由来

SHIORI
Kanon [key]の「美坂 栞」
SAORI
はじめてのおるすばん[ZERO]の「観月さおり」 (姉の名が「観月しおり」のため)
MAKOTO
Kanon [key]の「沢渡 真琴」
SERIKO
To Heart [Leaf]の「HMX-13 セリオ」を元にしたゴースト「せりこ」[Extra Stage(移転: いーえす)]
MAYUNA
着せ替えを提案し,シェル「黒服さくら」を公開した,まゆなゆうま氏 [ZERO HOUR ONLINE(移転: びー●ちく●瓦版)]
PIRO
Kanon [key]の真琴が飼っている猫「ぴろ」
sakura, kero
カードキャプターさくら [CLAMP] の「木之本 桜」と「ケルベロス(ケロちゃん)」

その他の用語

絶対きのこ領域
「AKF」。Shell に絶対きのこ領域中心点を設定することで生じる領域。絶対きのこ領域中心点はキャラクタの頭の中心を示す。主に「きのこシステム」用。
ネットワーク更新
「ネットワーク経由で自動更新」の略。オンラインアップデートのこと。

通称など

あれ以外の何か,偽ペルソナウェア
「伺か」の旧称。黒衣鯖人氏が開発していた。
何か。(仮)
「伺か」の旧称,というか仮称。
任意,さくらとも呼ばれるひと
「何か。(仮)」時代に付属していた First Ghost を指す言葉。キャラクタ名ではない。「何か」そのものを指して言うことも多い。
任意たん,偽春菜たん
「何か。(仮)」時代に付属していた First Ghost の通称。
偽春菜
黒衣鯖人氏が開発していた頃の First Ghost のキャラクタ名。(当時,First Ghost という名称は存在しなかったが)
first
「何か。(仮)」時代以前に本体に付属していたゴースト「さくら」を指す言葉。「何か。(仮)」時代に付属ゴーストの Shiori dll の説明に Sakura "the First Ghost" と書かれていたのが元。
second
「何か」として正式公開されたときに,「さくら」に代わり,本体に付属していたゴースト「双葉」を指す言葉。
third
「双葉」の後,本体に付属するようになった「first」を指す。本来なら「first」と呼ぶのが正しいが,以前とは違う Shell であることや性格の違いから3番目を意味する Third と呼ばれることも多い。

むかしの用語

PERSONA, SKIN
図
Piro
「ぴろシステム」。ゴーストはかつてランダム AI トークのセリフを Shiori が生成し,対イベントのセリフを Piro がデータベースから呼び出していた。
surface set
サプリメントシェルの旧称。First Ghost が本体からパージされる前,Shell は First Ghost にしか追加できず,他の Ghost に対しては臨時仕様 surface set として Shell が追加できるようになっていた。
スクリプトオーバーライド,song オーバーライド,timing オーバーライド,news リプレース
First Ghost が本体からパージされる前,ゴーストのセリフを First Ghost のものから書き換えるための手法。「ぴろシステム」が使用するデータベースをオーバーライドすることで実現していた。
Sense
「センス」。イベント反応。顔面突き反応,対 winamp 反応,対 Ghost 反応,時刻反応,などのこと。
Ghost Layer
キャラクタの Ghost 部分とプラットフォームの目に見えない部分。
Shell Layer
キャラクタの Shell 部分とプラットフォームのUI部分。
SSP
DOIchan!氏が開発した,最初に登場した「何か」互換の実行環境,ほぼ完全互換である。SSP BUGTRAQ が開発を引き継いだ。
きのこ
「きのこシステム」。実行中のキャラクタの上に物体を生やしたり,浮かべたりする外部アプリケーション。始めはキャラクタの頭にきのこを生やすソフトウェアだったが,「天使の輪」など多くのきのこスキンが存在する。
猫どりふ
実行中の「伺か」キャラクタの頭上に物体が落とす外部アプリケーション。始めは「金だらい」を落とすものだったが,「メテオ」「札束」なども存在する。猫どりふのキャラクタも変更可能。
SSTP Bottle
他のマシン上のゴーストを喋らせるためのアプリケーション。SSTP Bottle を同じチャンネルで起動しているマシン上のゴーストにブロードキャストされる。
ペルソナウェア
プラエセンス株式会社のデスクトップキャラクター。PCのデスクトップにキャラクタを存在させる,というコンセプトは同じであるが,内容は異なり「ペルソナウェア」は実用的な機能を多く搭載する。

言葉

AI
「Artificial Intelligence」の略。日本語で言えば「人工知能」。
UI
「User Interface」の略。日本語で言えば「ユーザインターフェース」(って片仮名にしただけですが)。使用者との接触部分,とでも言えばいいのだろうか。
エントリ
「entry」。日本語で言えば「項目」。
description
「言葉による叙述」「記述」「説明書」。description of ~で「~の説明」「~の描写」「~の内容」「~の種類」
descript.txt の descript は description の略。
alias
「別名」。
Owner Draw Menu
Windows に描画をまかせず,プログラム制作者が描画を制御する「オーナードロー」を使用し,背景に画像を配置するなどしたメニュー。
オーバーライド
Ghost,Shell,Balloon などの制作時にテキストファイルを用意することで,それに書いたエントリの値を優先させること。書かれなかったエントリについては全てデフォルト値が使用される。
例えば「Shell の descript.txt で sakura.balloon.offsetx の値をオーバーライドする。」
DnD
「Drag and Drop」の略。
API
「Application Program Interface」の略。
GDI
「Graphics Device Interface」の略。Windowsのグラフィックス描画モジュール。
DIB
「Device Independent Bitmap」の略。デバイスに依存しないカラーテーブルを持つビットマップ画像のこと。
¥e
SAKURAスクリプトの終了タグ。
えんいー。